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2018年8月26日 (日)

『命を運ぶ 大病院の引っ越し』(ドキュメント72時間・NHK)

 この番組を見て、一瞬、ハッとした。目黒にある、病院名に、記憶があるからだった。
(それとも、違う病院かしら)
 とも思ったが、同じ場所に、同じ大学名の付く病院が2つもあるとは思えない。
 もう10年以上前である。友人の親しい知人が、初期の大腸ガンで入院し、お見舞いに行った話を聞いた。友人と同い年、仕事の取引もあり、ゴルフ仲間。ガンのステージも低く、切除手術で、問題なく完治ということだった。ところが――。
 退院して、すぐに再発。入院し、また切除手術。退院、入院、身体はどんどん悪くなっていく。こんなはずじゃなかったと、本人も家族も周囲も驚く。大柄な体格で、体力もある患者である。ついに、人工肛門に――。そうして、さらに入退院を繰り返して、わずか1年余りで亡くなってしまったのである。
 周囲の人たちは、医療ミスの訴訟をすすめた。明らかな医療ミスは――。
 簡単な手術だからということなのか、手術が初めての若い医師が執刀。傍で、ベテラン医師が、執刀の様子を見ていただけ。その若い医師が腫瘍を取りきれなかったらしく、退院してすぐの再発はあり得ないというような話だった。けれど、遺族は、もう疲れ果てて、その気力もなく、訴訟は起こさなかったらしい。
「医者選びも寿命のうち、病院選びも寿命のうち、っていうものね」
 友人の話を聞いて、私はそう言った。患者は意識がなくなる前まで、うわごとのように、「明日、虎ノ門病院に転院するんだ」という言葉を、何度も繰り返していたという。もちろん、そこまで末期にならないうちに、転院を考えていたらしい。この病院は失敗した、この病院は駄目だと、悔やみながらベッドで過ごす日々は、どんなに苦しく、悔やんでも悔やみきれず、絶望的な想いだったことだろう。亡くなる前の呟きが、転院するんだ、だなんて!
 病院選びも寿命のうち、ではあるが、その病院は患者が選んだ病院ではなかった。近所のクリニックで紹介された病院だった――。
 友人は、かなりショックを受けていた。何度かお見舞いに行った日の中で、人工肛門の器具を見せられたと話した時も。その前には、転院の言葉も聞いたと。頻繁にやり取りしていた携帯電話が、何度、電話しても来なくなり――。
 患者は、自分の生命を、医師に預けるということなのだと、そう感じたことを記憶している。
 大病院の引っ越しの様子を取材したこの番組を見ながら、そのことを思い出した。

Tuki12


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